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〜瓜ひめん子〜(八幡地区)
(山北町教育委員会:平成9年3月1日発行
「さんぽくの昔話」第4集より抜粋)
山 北 弁 の 語 り 標 準 語 の 語 り
むがし むがし、 じやど ばばが いだけどや。 むかしむかし じいさんと ばあさんが いたそうだ。
じやは 山へ しばきりに、
ばばは、 川へ せんだぐに 行ったど。
じいさんは 山へ しばかりに行き
ばあさんは 川へ せんたくに 行ったと。
上(かみ)の方がら 瓜 二つ ながれで きたあんで
ばばが
{そしたら}川かみの方から 瓜が二つ ながれて来たので、
ばあさんが
「みい(実) だん こっちへ 来い
から(空) だん あっちへ 行げ。」
「実の入ったの こっちへ来い。
からなのは あっちへ行け。」
て いうど みいだ 瓜 こっちへ よって 来たどや。 って 言うと、 実の入った 瓜が 寄って来たそうだ。
じやど ふたりで 瓜ごど
ほうぢょうで はやそど したば 中がら めんごい おなごの子
生まれで きたど。
{ばあさんが、それを拾って来て} じいさんと 二人で 瓜を
ほうちょうで 割ろうとすると 中から かわいい 女の子が
生まれてきたと。
そして、 瓜がら 生まれだあんで 「瓜ひめん子」ど 名 つけで
だいじに そだてだど。
そして 瓜から 生まれたので、 瓜ひめん子と 名をつけて
だいじに そだてたと。
だんだん きれいだ むすめん なって
はだおりも とっても じょうずに なったと。
{瓜ひめん子は}だんだん きれいな むすめになって
はたおりも とっても じょうずに なったと。
あっとぎ じやと ばばが
山へ 行がねば ならねあんで
ある日、 じいさんと ばあさんが
山へ 行かねば ならないので、
「瓜ひめん子や、 おれだぢ 山へ 行って くっさげ
ようじんして、 るすばん してれやい。 アマノジャグ(※1)は
わあり やづださげ 気ぃつけれよ。」
「瓜ひめん子や おれたちは 山へ 行ってくるから
注意して るすばんして いなさいよ。 アマノジャクは
悪いやつ だから 気をつけなさいよ。」
って 言うだど。 と、言ったと。
瓜ひめん子が 戸に さん(※2) おろして 中で はだ
おっていだば、 アマノジャグが きて つぐりごえ だして
{そこで}瓜ひめん子が 戸に かぎをかけて 機(はた)を
おっていると アマノジャクが来て つくりごえをだして、
「戸 ちょこっと あげでくれちゃ。」 「戸を 少しあけて くれないかい。」
て 言うだど。 と、言ったそうだ。
瓜ひめん子が ほそめに 戸 あげっと アマノジャグは
なあげつめ かげで ガラッと あげで しもうだどや。
瓜ひめん子が ほそめに 戸をあけると アマノジャクは
長い爪をかけて ガラッと あけてしまったと。
「うしろの はだげで かぎ もいで やっから。」 「うしろの はたけで 柿を 取って やるから。」
でで 瓜ひめん子 ごど つれ出して はだがに して
かぎの木の てっぺんに からがえで しもだど。
といって、 瓜ひめん子のことを つれだして はだかにして
柿の木の てっぺんに しばってしまったと。
アマノジャグは、 瓜ひめん子の きもん きて
知らねふり して はだ おって いたど。
そうして アマノジャクは 瓜ひめん子の きものを着て
しらんふりして 機ををおって いたと。
じやど ばばが 山がら かえって じいさんと ばあさんが山から 帰って来て
「瓜ひめん子や アマノジャグは 来ねがったがや。」 「瓜ひめん子や、 アマノジャクは 来なかったかい。」
で 聞ぐど って 聞くと、
「来ねがった。 来ねがった。」 「来なかった。 来なかった。」
で 言うばっかで いっつもの ように 話も しねあんで
なんか おがしいな、ど 思うで いだど。
と、言うばかりで、 いつものように 話もしないので、
なにか へんだなあと、 思っていたそうだ。
そして、 外方(とがた)へ 出でみっと 木の上で からすが そして 外へ 出てみると 木の上で カラスが、
「瓜ひめん子は かぎの木で アマノジャグめが はだおりだ
カア カア カア カア カア カア」
「瓜ひめん子は 柿の上で アマノジャクめが 機おりだ。
カア カア カア カア カア カア カア」
て、 ないだど。 って 鳴いたと。
家の うしろへ 行って みっと  かぎの木の てっぺんに
瓜ひめん子が からがかって いで 瓜ひめん子の
きもん 着たあんは アマノジャグだど わがったど。
家のうしろへ 行ってみると、 柿の木の てっぺんに
瓜ひめん子が しばられていて、 瓜ひめん子の
きものを 着たのは アマノジャクだと わかったと。
じやは、 おごって アマノジャグごど きびばたげ
ひきずり まわして 血 出るほど いじめだどや。
じいさんは おこって アマノジャクのことを とうもろこし畑じゅう
ひきずりまわして 血の出るほど いじめたそうだ。
今でも きびの ねもとが ああげあんは
アマノジャグの 血で きびの ねもどが
そまった がらだどや。
いまでも とうもろこしの根(ね)もとが 赤いのは、
アマノジャクの 血で とうもろこしの根が
そまったから なのだそうだ。
とっぴんかだり あどねっけど。




※1 アマノジャグ = 天の邪鬼。片意地をはって人にさからう乱暴者。 山北町観光協会より拝借  八幡宮境内
※2 さん ==== 入り口の戸に作りつけたカギ。下におろすと穴にささる。
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